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ブランド解説

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目次

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    工業デザイナーの出発点は、時刻の読み取り方そのものを設計し直すことにある

    Ressenceの第一印象は「針がない時計」ですが、本質は部品を減らしたことではなく、時刻をどう読ませるかから表示全体を組み直した点にあります。

    Ressenceは2010年に創設された機械式高級時計メーカーである。

    創業者ブノワ・ミンティエンスは工業デザイナーで、使い手の評価を最終基準とする総合的な設計手法を採る。

    「BEYOND HANDS」という考え方は、従来の針を回転ディスクへ置き換え、時刻を直感的に読める表示を目指す。

    Ressenceの独自性は針がないことだけでなく、工業デザイナーが読み取り方から逆算して回転ディスク表示を組み立てた点にある。

    工業デザインの考え方を出発点にすると、回転ディスクは奇抜な外観のためではなく、使う人が時刻を直感的に捉えるための手段だと分かります。以後のTYPEも、同じ表示を繰り返すのではなく、この読み取り体験へ機能を重ねたものとして見ていきます。

    アントワープで設計し、フルリエで製造・組立する分業体制を取る

    Ressenceを国名一つで説明すると、設計と製造の分担が抜け落ちます。発想と開発はベルギー、製造と組立はスイス、その後の試験は本社という流れで捉えます。

    • Ressenceの時計はベルギーのアントワープで設計・開発され、スイスのフルリエで製造・組立される。
    • 完成したRessenceは本社でR500H基準による500時間の試験を受け、六つの項目が検査される。
    • 設計・開発はベルギー、製造・組立はスイスで行われるため、「ベルギー製」または「スイスで設計」という一語では実態を正確に表せない。

    アントワープとフルリエは競合する二つの原産地ではなく、一つの時計が通る異なる工程の場所です。完成後の500時間試験まで含めて見ることで、デザインブランドかスイス時計かという二者択一ではなく、役割分担として理解できます。

    ROCSの共通原理とROCS 1・2・3・5の個別機能は分けて読む

    ROCSは全作の共通語ですが、ROCS 1、2、3、5を同じ部品表へまとめることはできません。共通するのは面全体が動く表示原理で、基礎ムーブメント、部品数、オイル、機能はTYPEごとに変わります。

    ROCSの共通原理とTYPE別仕様
    共通機構ROCS(Ressence Orbital Convex System)は、すべてのRessenceに組み込まれる機械式表示機構である。
    表示原理ROCSは固定文字盤上を針が動く多層表示を、面全体が動く一体的な表示へ置き換える。
    ROCS 1ROCS 1は、調整を加えた2824/2を基礎に分軸から駆動される107部品の機構で、秒・分・時・曜日を表示する。
    ROCS 2ROCS 2は、調整を加えた2892を基礎に分軸から駆動され、TYPE 2では太陽電池を内蔵する。
    ROCS 3ROCS 3は215部品で構成され、3.57 mlのオイル内で作動する。
    ROCS 5ROCS 5は142部品で構成され、3.75 mlのオイル内で作動する。
    仕様の広がりROCSには各TYPEの目的に合わせて個別に開発された複数の仕様がある。
    読み分けROCSという原理は全作に共通するが、ROCS 1、2、3、5では基礎ムーブメント、部品数、オイルの有無、機能が異なり、同一仕様ではない。

    ROCSの名称だけを見て同一仕様と判断せず、まずどのTYPEかを確認します。ROCS 1は曜日までを含む機械表示、ROCS 2はTYPE 2の太陽電池との組み合わせ、ROCS 3と5は異なる部品数とオイル量を持ちます。原理と実装を二段階で読むのが要点です。

    TYPE 1° Roundの212部品と表示機能を全TYPEへ広げない

    TYPE 1という系列名より一段細かく、TYPE 1° Roundという製品名まで絞ると、部品数と表示機能を正確に説明できます。

    TYPE 1° Roundの情報は、TYPE 1 Squaredや過去のTYPE 1を含む系列全体の固定仕様ではありません。比較するときは「TYPE 1」だけで止めず、RoundかSquaredか、どの世代かまで確認する必要があります。

    eCrownは機械式時計にタップ・光・アプリ連携を加える

    TYPE 2は機械式時計に電子機能を重ねますが、スマートウォッチへ置き換えたものではありません。機械式の基礎ムーブメントとROCSの間にeCrownが入り、時刻合わせと記憶を補助します。

    • TYPE 2のeCrownは風防へのタップで操作し、第一時間帯、第二時間帯、アプリ連携、停止の四つのモードを選べる。
    • TYPE 2は裏蓋のレバーで時刻を手動設定し、二度のタップで記憶できるほか、Bluetoothアプリから都市と時間帯を送信できる。
    • TYPE 2は太陽電池でeCrownへ給電し、二つの時間帯を記憶できる。
    • eCrownは、機械式の基礎ムーブメントと自社製ROCSをつなぐ電気機械式の組込機構である。
    • eCrownの中枢部は87部品から成る小型の電気機械式機構である。
    • eCrownを停止しても、時計は機械式の基礎ムーブメントによって動き続ける。
    • タップ、アプリ、太陽電池、二時間帯というeCrownの機能はTYPE 2に固有で、すべてのRessenceに備わる標準機能ではない。

    電子機能を停止しても機械式時計として動き続けるため、eCrownは駆動源そのものではなく、設定と補正を担う層です。風防のタップ、アプリ、太陽電池、二時間帯はTYPE 2の特徴であり、ほかのTYPEへ自動的に当てはめません。

    TYPE 3・5・7は二室構造へオイルを封入し、用途と視認性を分ける

    Ressenceの滑らかな表示をすべてオイルの効果と考えるのは誤りです。オイルを封入するのはTYPE 3、5、7で、共通のROCSという原理の中にある一つの分岐です。

    TYPE 3の目的
    TYPE 3は上部室をオイルで満たすことで文字盤の視認性を高める。
    ROCS 3
    TYPE 3のROCS 3は215部品で構成され、調整を加えた自動巻2824/2を基礎に駆動する。
    二室構造
    TYPE 3、TYPE 5、TYPE 7は、オイルとROCSを収める上部室と、空気と基礎ムーブメントを収める別の密閉室を持つ。
    オイルの役割
    ガラスとオイルの近い屈折特性が独特の視覚効果を生み、オイルはROCSを常時潤滑する。
    適用範囲
    二室式のオイル封入構造が明示されるのはTYPE 3、TYPE 5、TYPE 7であり、すべてのRessenceがオイル封入式というわけではない。

    二室構造にすることで、表示側のROCSはオイル内で動き、基礎ムーブメントは空気の入った別室に置かれます。オイルは光の見え方と潤滑に役立ちますが、その役割をオイル非封入のTYPEへ広げず、TYPE 3では視認性という目的と結び付けて読みます。

    TYPE 3の視認性とTYPE 5のISO 6425潜水仕様

    TYPE 3とTYPE 5はオイルを使う点で似ていますが、想定する用途は異なります。TYPE 3は文字盤の見やすさ、TYPE 5は水中での視認と密閉を含む潜水用途が中心です。

    TYPE 3とTYPE 5の用途を分ける要素
    潜水仕様TYPE 5は100 m/10 ATMの防水性能を備え、ISO 6425に準拠するダイバーズウォッチである。
    水中視認性TYPE 5ではオイルが全反射を抑え、水中でも見る角度に左右されにくい視認性をもたらす。
    RCLS裏蓋TYPE 5のRCLS裏蓋は「固定」と「設定」の二位置を持ち、固定時にはガスケットを圧縮して密閉する。
    ROCS 5TYPE 5のROCSは142部品で構成され、調整を加えた自動巻2824/2を基礎に駆動する。
    TYPE 3との違いTYPE 3はオイルによる視認性向上を主眼とし、TYPE 5は100 m防水、ISO 6425、RCLSを備えるダイバーズウォッチであるため、オイルという共通点だけで同じ用途にはできない。

    TYPE 5ではオイルによる見やすさだけでなく、ISO 6425、100 m防水、RCLS裏蓋が一体の潜水仕様を作ります。TYPE 3を同じダイバーズウォッチと考えず、「オイルを使う理由」と「用途に必要な装備」を分けて比べます。

    TYPE 7・8・9・11まで見ると現行系列の広がりが分かる

    TYPE 1、2、3、5はRessenceを理解しやすい四つの入口ですが、現在の系列はそれだけではありません。名称の一覧を広げてから、知りたい機能へ戻るのが安全です。

    1. 現行のRessenceにはTYPE 1° Round、TYPE 1 Squared、TYPE 2、TYPE 3、TYPE 5、TYPE 7、TYPE 8、TYPE 9、TYPE 11が並ぶ。
    2. TYPE 1、2、3、5は現行Ressenceの一部であり、TYPE 7、8、9、11も含む全体像を四系列だけで置き換えることはできない。

    回転表示の基本ならTYPE 1、eCrownならTYPE 2、オイルによる表示ならTYPE 3、潜水用途ならTYPE 5が主な入口です。その外にもTYPE 7、8、9、11があるため、四系列を全製品の一覧とせず、目的に合うTYPEを選ぶための比較軸として使います。

    参照したRessence公式資料